自称「日本一、人見知りする社長」です。資金なし、人脈なし、人望なし、自信なし、ゼロからの独立起業から9年経過。現在は年商10億円にまで成長しました。その過程では、詐欺、横領、裏切り、謀反、男女問題、人間不信、様々な問題が勃発。どんな本にも書かれていない、生々しい真実を赤裸々に書き綴りました。本当の学びは、真実から得られます。起業の裏側、経営の光と闇をのぞき見したい方は続きをどうぞ・・・・
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2007年12月30日

人見知りの私が社長になるまで 第8話

2000年8月、コミュニケーションライン有限会社設立。
創業メンバーは、山本を含め7人。
それぞれが「月収100万」の夢を抱き、営業スタート。
順風満帆に思えた船出であったが、はやくも綻びが生じるのであった。
しかも、それは意外な所から・・・・・・・・・


「アリとキリギリス」のお話はご存知ですよね。
暖かい頃から、せっせと働いて食料を蓄えたアリと、
「なんとかなるさ」で遊び呆けていたキリギリス。
厳しい冬がやってきて、アリは乗り越えるが、キリギリスは寒さで動けなくなる。
餓死寸前のところで、「働いてばっかりで、遊びを知らない奴」とバカにしていた
アリから、食料を恵んでもらいキリギリスは助けられるという、
人生の教訓と人情もありで、なんだか心が暖まるイソップ童話です。

この「アリとキリギリス」は、イソップ童話の世界の話だけではないのです。
リアル版「アリとキリギリス」的な出来事が、コミュニケーションライン創業時に起こったのです。
創業当時は、全員がやる気満々で、朝の9時から夕方5時以降まで、
コツコツと飛び込み営業をし続けました。
私も「念願の月収100万」の為に、
朝9時までに自転車で、営業テリトリーに到着し
17時過ぎまで、昼休み以外は休むことなく
ひたすらに毎日、飛び込み営業をしつづけました。
つまり全員が、その頃は働きアリのように、
コツコツと営業を回り続けたのです。

しかし、2週間もすると脱落者が出てきます。
キリギリスが出現したのです。

しかも、7人いるメンバーの大半がキリギリスになってしまいました。

「インセンティブの条件が、いいのだからボチボチすればいいやん」
「昨日飲み過ぎたから、昼まで寝てもうた」
「来月からは、必死にやるでー」
「山本、こんなに必死に営業やっているけど、稼ぎすぎるんとちゃうか」
「自分の営業だけ頑張るのじゃなく、会社の雑用もしろよ!!」

キリギリスは、声を揃えてこんな事を言っていました。

あきらかに、第4話でお伝えした「自己管理のワナ」に、
大半のメンバーは嵌ってしまったのです。

私以外は、起業経験がなくサラリーマンしか知らないものですから、
「自己管理のワナ」がどれほど恐ろしいものか知りません。

一度、そのワナに嵌ってしまうと、容易には抜け出せません。
「明日からは、がんばろう」と思いながらも、自堕落な生活を続けてしまうのです。
自己管理は、簡単な様で非常に難しいのです。

毎日、朝からキッチリと営業していたのは、私とGさんの二人ぐらいでした。

特にひどかったのはSさんでした。
見た目は、ラーメン大好き小池さんにそっくりの人でした。
Sさんは、毎日、営業もせずに、パチンコに入り浸ってしまったのです。
パチンコ大好き小池さんになってしまったのです。

それを見かねたSさんと仲良しで、
最年長のKさんは、会議をする度に
「Sはどうしようもない奴や。もう辞めさせるけどいいか」と言っていました。
そんな事を言っているKさんも、営業成績が芳しいわけでなく、
焦っている様でした。
つまり、Sさんを辞めさせたいわけでなく、
自分自身への苛立ちをぶつける対象が欲しかっただけです。
その証拠に、毎晩の様にKさんとSさんは飲みに行っていました。

そして、遂に厳しい冬が近づいてきました。


キリギリスは、忍び寄る寒さに気づきはじめたようです。
実際は、まだ10月です。
本当に温度が下がっていて、寒いわけではありません。

懐がどんどん寒くなってきている事に、気づいたのです。
しかし、時は既に遅しです。

今から、営業を頑張っても、収入になるのは2ヵ月後です。
餓死してしまいます。

そこで、キリギリス達は考えました。
「一番働いていた山本アリなら、恵んでくれるだろう」

しかし、リアル版「アリとキリギリス」には、人情味はありません。
イソップ童話とは違い、現実は厳しいのです。

コミッション支払日の前日、
私の携帯にKさんとSさんから、電話がありました。
そして、二人とも同じ事を言ってきたのです。
「山本、おまえ明日のコミッションいっぱいあるやろ。
悪いけど来月返すから、30万貸してくれ!!」
しかし、私には貸す気持ちも、資金的な余裕もありませんでした。
たくさんコミッションがあっても、サラ金の一括返済で消えてしまうからです。
一括返済を夢見て、営業を頑張ってきたのです。
返済し続けても、元金が減らない借金。
それほど、恐ろしいものはありません。
そこからいち早く開放されたかったのです。

ですから、KさんとSさんには、
借金返済を理由に丁重にお断りしました。

Sさんは気の優しい方でしたから、すぐに引き下がりましたが、
Kさんは、違いました。逆切れをして、罵声を浴びせてきたのです。
「山本、あれほどおごってやったのに、その態度はなんや!!。
おまえは仲間を見捨てるのか?自分の事だけ良ければいいんか?」
今でもそのときの罵声が、忘れたくても忘れられないのです。
それほどまでに、耳にこびりついているのです。
しかし、Kさんに何を言われても、お金は貸しませんでした。

そして、待ちに待った初めてのコミッション支払日がやってきました。
前月は、400回線獲得していましたから、120万円が入ってくる予定です。
21歳の頃から、夢見ていた「月収100万円」が遂に叶うのです。
心が躍りました。

コミッションは、なぜか銀行振り込みではなく、現金手渡しでした。
「支払いは現金で」という、Nさんが決めた不思議なルールです。

Nさんを慕って、追いかける形で、前の会社を辞めて合流した
事務員のAさん(当時26歳 女性)から、
コミッションの入った三和銀行の封筒を貰いました。

「キャー!! この封筒は縦に置いても立つわー!!」
Aさんは、無邪気に喜んでいました。

120枚もの壱万円札が、
入った封筒は、確かに分厚いものでした。
Kさんは、うらめしそうに見ていました。

「このまま持っていたら、Kさんに奪われるかも」と、
危険を察知した私は、
すぐに、事務所近くのプロミスの無人機へ走りました。

息を切らせながらも、無事にプロミス無人機に到着しました。
そして、受け取ったコミッション全額120万を、
思い切ってキャッシュディスペンサーに投入しました。
今までとは、逆の流れです。
そこから、お金を受け取ることはあっても、お金を投入するのは初体験です。
人生の流れ自体が、大きく変わる気配をゾクゾクッと感じました。

そして、無人機の画面に「一括返済します」という、文字が大きく浮かび上がってきました。


右手の人差し指を、頭上にかざし、
画面の「一括返済します」目掛けて、力強く振り下ろしました。

振り下ろした右手の人差し指が、画面に着地するまでの一瞬に
過去の記憶が、走馬灯の様に蘇ってきたのです。

「母親から、勝手に貯金をおろされて、残高が62円になったこと」
「ナポレオン・ヒルの本と出会い、はじめて独立起業を志したこと」
「信頼していた社長から、辞める時に、罵声を浴びせられて、震え上がったこと」
「上司から、営業不適合の烙印を押されて、クビ宣告されたこと」
「N社で、全国3位の営業成績をおさめたこと」
「はじめての独立起業に失敗し、初めてサラ金に手を出したこと」
「返済のため、正月も休まずに、初詣の警備で働いたこと」
「期待されて入社した浄水器販売会社で、高校中退の女の子より、
売れなくて、営業成績がビリになり、失望されたこと」

様々な思い出が頭の中を駆け巡りました。

そして、振り下ろした右手の人差し指が、画面に触れました。
「一括返済ありがとうございました。またのご利用お待ちしております」
という画面に変わりました。
「またのご利用は、もうすることはない!!」と、画面に向かって呟きました。

さらに、人差し指が画面に触れた瞬間、
サラ金の残高だけでなく
自分の中の何かが、変化したのに気づいたのです。

そう、当時、西武ライオンズの松坂大輔が、オリックスのイチローとの
初対戦で、3打席連続三振を奪ったときのコメント
「自信が、確信に変わりました。」と同じように、

もともと自信さえなかった私でしたが、自信を飛び越えて確信を得たのです。
「一括返済」のスイッチは、
人生の次なるステージへの扉を開くスイッチだったのです。
まさに、気分は有頂天、積年の夢が叶い恍惚を楽しんでいました。


しかし、その瞬間、
有頂天から一転、奈落の底に突き落とされてしまうのでした。

Nさんからの電話です。
イヤな予感がしました。
なぜかというと、実はNさんが作ったルールを、破ってしまったからです。
私がいない間に、AさんがNさんに話したようです。

いつも穏やかなNさんが、電話の向こうで怒り狂っていました。
チンピラのような口調で
「コラー!!山本、おまえなに勝手なことしたんや。戻ってきたら、ボコボコにしてやるからな
覚悟しとけ!!」
様々な罵詈雑言を、浴びせられました。
しかし、今までに人が豹変してしまうのを、何遍も経験していましたから
冷静に嵐を過ぎ去るのを、待つことが出来ました。
この事を境にして、Nさんの本性が遂に顕となったのです。

なぜ、いつも穏やかで人望の厚いNさんが、怒り狂ったのか?
山本は、どんなルールを破ってしまったのか?

次号に続く
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